2025年、年始からロサンゼルスで山火事があり「サンタアナ風」と呼ばれる海からの強い風の影響で火事が広がっています。
火事の原因は現段階では不明ですが、ロサンゼルスをはじめ1番の被害は高級住宅街として知られるパリセーズと呼ばれる地区です。
米不動産サイト「Zillow」を確認すると住宅価格は5百万ドル(約7億5000万円)を超える住宅が多くそのほとんどが全焼したと言われています。

ロサンゼルスといえば降水量が少なく、乾燥した地域で山火事が多いことでも有名です。
実際に今回の火事は街の中心部ではなく、高級住宅街として好まれる山間部で起きています。

それにもかかわらず、多くの富裕層がこのようなエリアを選ぶ理由は何なのでしょうか?本記事では、その背景を探ってみたいと思います。
富裕層とそれ以外で住むエリアが明確に分かれるロサンゼルス
ロサンゼルスは広大な平地を囲むように丘や山に囲まれた大都市です。
日本では「駅近」など公共交通機関に近いエリアの住宅価格が高くなりますが、アメリカは車社会ということもあり公共交通機関が発展しているエリアは車を持たない低〜中所得層が住むエリアであることが多く、反対に中心地から離れた郊外の山や森の緑の多い落ち着いたエリアに高級住宅街が広がります。
絶景とプライバシーの確保
特にロサンゼルスでは平地を見下ろし絶景が広がる丘や山間部が人気でビバリーヒルズやマリブ、ベルエアーなどの有名な高級住宅街は全て丘、山間部にあります。
高台に位置するこれらの住宅地は、ロサンゼルスのダウンタウンや太平洋を一望できる壮大な景色を提供します。特に夕暮れ時の眺めは圧巻で、住人にとって心地よい贅沢なひとときをもたらします。また、高台に住むことで近隣住民や観光客からの視線を避けることができ、プライバシーを確保しやすい点も大きな魅力です。景色が良いほど高い物件価格になり、高台の中でも頂上付近に豪邸が集まる傾向があります。


土地の希少性とステータスの象徴
ロサンゼルスの高台エリアは土地が限られており、その希少性が高い価値を生み出しています。これらの地域に住むことは、単に物理的な居住地以上の意味を持ち、富や成功の象徴とされています。特に有名人や成功した実業家にとっては、ステータスを示す重要な要素となっています。
洗練されたコミュニティと高品質な生活環境
これらのエリアには、洗練された住民が多く住んでおり、治安が良く、地域全体の美観も維持されています。また、高級レストランやプライベートクラブ、エリートスクールが近隣にあるため、質の高い生活を求める人々にとって理想的な環境と言えます。
自然との調和を楽しむライフスタイル
ロサンゼルスの高台エリアは自然豊かで、都市の喧騒から離れた静かな環境を提供します。多くの富裕層は、このような環境での生活を「自然との調和を楽しむライフスタイル」として評価しています。
治安の問題
ロサンゼルスはダウンタウンや平地エリアは治安が悪く、超富裕層には住みたいと思えるエリアが少ないのが現状です。また、ハリウッドセレブなどは自宅情報がすぐにバレてしまい、身の危険もあるためセキュリティーゲートで囲まれたゲーティッドコミュニティーに自宅を構えることが多く、ゲーテッドコミュニティーは丘の上や海沿いにしかなく平地にはあまりありません。丘の上、山間部が富裕層に好まれるというのもありますが、治安を考えるとそれ以外選択肢があまりないというのも現状です。

住居が他にもある
超富裕層ならではの理由ですが、彼らは他にも住居があることが多くこのエリア一軒だけでない人も多くいます。何かあったら他に行けば良いという気持ちがあることで日本人のように「一生に一度の買い物」と気を張らず買えるのも動機としてあるのかもしれません。
結論
ロサンゼルスの高台に住むことは、山火事というリスクを伴う一方で、それを上回る多くの魅力があることが分かります。絶景やプライバシー、コミュニティの質などが、富裕層にとって非常に重要な要素であり、これらが山火事のリスクを超えて高台の人気を支えています。
山火事は近隣のマリブなどでも数年毎に起きていますがリスクより落ち着いた自然環境、治安、コミュニティーなど住み心地を優先する国民性がロサンゼルスの富裕層にはあるのかもしれません。
今後、今回の山火事をきっかけにロサンゼルスの不動産価格や住宅事情が大きく変わる可能性もあり長期的にみていきたいと思います。
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