デイサービスの売却方法には「事業譲渡」と「株式譲渡」の2種類の方法があります。
今回はデイサービス売却時の事業譲渡と株式譲渡の違いとそれぞれのメリット&デメリットについて紹介していきます。
まず最初に事業譲渡と株式譲渡の違いについてまとめると
事業譲渡の場合
会社ではなく事業を売却します。
具体的にはデイサービスの事業所番号や指定申請を新たに取り直し、新規で指定を受けます。その際、指定を受ける事業所は元々運営をしていた売却対象の事業所になります。建物や内装、車両、職員など事業運営に関わる一切を譲渡する形になります。
賃貸の場合は契約日を境に新たに契約を結びなおし、職員も新会社と雇用契約を結び直すようになります。
事業譲渡の売り手のメリット
他に事業を運営している場合、デイサービスのみ売却できるため会社自体を継続して経営したい場合、このやり方が向いています。
事業譲渡のデメリット
一方デメリットとしては指定更新や賃貸借経営など買収前に進めなくてはいけない事項が多く。職員に告知後即、職員と新しい会社の雇用契約の終結などを終結しなければいけないため秘密裏に進めなくてはいけない事項が多く経営者としてストレスがかかります。
現場の職員にも混乱が生じるものの、買収元の会社としては会社ではなく事業を吸収できたほうがM&A後の経営が楽になってきます。というのも株式譲渡の場合会社毎買うため就業規則や決算など会社毎に行わなくてはいけない業務が買収後も残ります。規模にもよりますが、売上規模が年間数千万円規模の企業を買うためにそれなりの労力を求められるというのも大変です。
株式譲渡の場合
株式譲渡は会社の権利である株式を売却する。つまり会社ごと売却する方法です。
この方法は手続き上、介護保険の申請書類はほとんどなく、売却まで秘密裏に進めることができます。
株式譲渡のメリット
株式譲渡のメリットとしてはなんといっても売却のしやすさです。オーナーの株式の権利が移動するだけなので、職員と会社の関係は変わらず雇用契約書の結びなおしなどが不要です。
株式譲渡のデメリット
会社自体を売却することになるので、経営者が経営者ではなくなるということが一番の問題です。
「もうそろそろ引退したい」「新たに会社を作って起業したい」など会社を手放すことに抵抗がなければデメリットはないかと思います。
売却後の税金の話
事業譲渡の場合、買収金額としてまとまったお金が会社に振り込まれることになります。
それ自体には税金はかかりませんが、決算時に通常と比べ利益が大幅に出ることになり法人税がそれなりにかかることが予想されます。
株式譲渡の場合、株式取得にかかる必要が旧株主に振り込まれることになります。
個人で確定申告をする場合、株式売却に伴う税金は約20%になります。これは給与所得などと違いだいぶ安い税率になり税金面では株式譲渡は良い売却方法と言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?なかなか実際にM&Aを経験していないとできないようなお話を今回は紹介させていただきました。一般的に買収元は事業譲渡を希望するケースが多く、株式譲渡だと商談が破断することもあります。
売却を検討している方は売却後どのように自身がふるまうかを考え判断してみるとよいかと思います。